ジェイコブズ・ラダー “Jacob’s Ladder” Huey Lewis & The News

Gospel in Rock

Fore!

昨年「ニュートリノ」が光速よりも早いという実験結果が発表された。その後その真偽について様々な議論が起きている。学術的にどういう理由でそうなるのかは分からないが、もし本当であれば「相対性理論もみなおされる」→「時間の概念もかわる」→「時間旅行の可能性」→「タイムマシン」という連想がわく。
「タイム・トラベル」ものといえば日本では数年前に幻の映像が発見された「タイム・トラベラー」(時をかける少女が原作)が有名だが海外では「タイム・トンネル」なんてドラマもあった。これも毎週ワクワクしてみてた記憶がある。その他にもいろいろと「タイム・トラベル」ものはあるが最大のヒット作は「バック・トゥー・ザ・フューチャー」だろう。今回Gospel in Rockで紹介するのはこの「バック・トゥー・ザ・フューチャー」のテーマソングを歌って全米No.1ヒットにしたアメリカの正統派ロック・グループ「ヒューイルイス&ザ・ニューズ」の作品をとりあげる。

曲は「バック・トゥー・ザ・フューチャー」のテーマ曲「パワー・オブ・ラブ」と何の関係もない「ジェイコブズ・ラダー」である。もちろん、「タイム・トラベル」とも関係ないのだが「ヒューイルイス&ザ・ニューズ」と聞いてもご存知ない方も多いと思いこんな導入にした。
ジェイコブズ・ラダー」の「ジェイコブズ」とは日本語の聖書では「ヤコブ」と書かれている。従って「ジェイコブズ・ラダー」は聖書の言葉でいうと「ヤコブの梯子」となる。ちなみに聖書にでてくる人名のカタカナでの表現と英語の表現ではかなり違う。たとえばパウロ→ポール、ヨハネ→ジョン、イエス→ジーザスなどである。
話を戻すとこの「ヤコブの梯子」は旧約聖書の28章10~22節に出てくる。原文を「新共同訳」から引用すると

ヤコブはベエル・シェバを立ってハランへ向かった。
とある場所に来たとき、日が沈んだので、そこで一夜を過ごすことにした。ヤコブはその場所にあった石を一つ取って枕にして、その場所に横たわった。
すると、彼は夢を見た。先端が天まで達する階段が地に向かって伸びており、しかも、神の御使いたちがそれを上ったり下ったりしていた。
見よ、主が傍らに立って言われた。「わたしは、あなたの父祖アブラハムの神、イサクの神、主である。あなたが今横たわっているこの土地を、あなたとあなたの子孫に与える。
あなたの子孫は大地の砂粒のように多くなり、西へ、東へ、北へ、南へと広がっていくであろう。地上の氏族はすべて、あなたとあなたの子孫によって祝福に入る。
見よ、わたしはあなたと共にいる。あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。わたしは、あなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない。」
ヤコブは眠りから覚めて言った。「まことに主がこの場所におられるのに、わたしは知らなかった。」 そして、恐れおののいて言った。「ここは、なんと畏れ多い場所だろう。これはまさしく神の家である。そうだ、ここは天の門だ。」
ヤコブは次の朝早く起きて、枕にしていた石を取り、それを記念碑として立て、先端に油を注いで、
その場所をベテル(神の家)と名付けた。ちなみに、その町の名はかつてルズと呼ばれていた。
ヤコブはまた、誓願を立てて言った。「神がわたしと共におられ、わたしが歩むこの旅路を守り、食べ物、着る物を与え、
無事に父の家に帰らせてくださり、主がわたしの神となられるなら、
わたしが記念碑として立てたこの石を神の家とし、すべて、あなたがわたしに与えられるものの十分の一をささげます。」

ヤコブの夢にでてきたのが「ヤコブの梯子」または「天使の梯子」とよばれるものである。ヨーロッパでは雲間から差し込んだ光をこう呼ぶらしい。不思議な話である。ヤコブが見た梯子は夢か幻か。
また新約聖書のマルコ1章9節~11節では

そのころ、イエスはガリラヤのナザレから来て、ヨルダン川でヨハネから洗礼を受けられた。
水の中から上がるとすぐ、天が裂けて“霊”が鳩のように御自分に降って来るのを、御覧になった。
すると、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が、天から聞こえた。

このときの天が裂けたときの光は「ヤコブの梯子」のようだったに違いない。

歌は非常にポップな作りでいかにもアメリカスタイルの明るい曲に仕上がっている。この曲だけではないのだがボーカルのヒューイルイスの男らしいたくましい声の魅力に加えてコーラスが素晴らしい。日本のロックグループも楽器の演奏は「いい線」になってきているがコーラスは全然だ。ロック畑以外では「ゴスペラーズ」とか古くは「ダーク・ダックス」とかアカペラでも聞かせられるグループもあるがロックの世界では皆無である。それに比べて欧米のグループはビートルズをはじめとしてビーチ・ボーイズ、アメリカなどコーラスでもオーディエンスを魅了するグループは枚挙に暇がない。歌詞も「一歩づつ着実にヤコブの梯子をマイペースで上って、明日が今日よりよい日にするんだ」という決意を表明している。励まされる歌だ。

この「ジェイコブズ・ラダー」は87年の全米No.1になったがこの曲の入ったアルバム「FORE !」は彼らの絶頂期のものでこの曲以外にも最初に書いた「パワー・オブ・ラブ」はNo.1を3週続けたモンスターヒットとなっているし、「スタック・ウイズ・ユー」もNo.1ソングにしている。
おまけ:①エイドリアン・ライン監督がヒット作「危険な情事(1988年公開)」に続いて撮った「ジェイコブス・ラダー(1990年公開)」というタイトルの映画がある。ベトナム戦争がらみの映画なのだが見て損はなさそうだ。

②「はなしのぶ」の別名がJacob’s-Ladder。茎から葉っぱが交互に生えている様子が、ハシゴに似ており、この名がついたと言うことだ。


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