クライング・イン・ザ・チャペル “Crying In The Chapel” Elvis Presley

Elvis Gospel in Rock

私はプレスリー世代ではないのだが子どもの頃にみたプレスリーは全く鼻持ちならない嫌なやつだと思っていた。ステージの観客の女性のハンカチを受け取ってキスをするシーンをみると悪寒が走ったものだ。しかし、それはエルヴィスの表面のごく一部を見たに過ぎないことが30年近くたってやっと分かった。DVDの中のプレスリーはハートウオームで歌は完璧。真のショーマンであった。今になってプレスリーがこの世にいないことを嘆き悲しんで涙が出そうになる(゚o゚)
掲載しているアルバムジャケットは10年ほど前に出たベストであるがこれに収められた「A Little Less Conversation」は、CMや番組のBGMとしてとてもよく耳にする。
今では、1000円程度で買えてしまうので、エルビス入門のアルバムとしては最適だ。

さて、このベストの中から「ゴスペル」を取り上げることにした。それが「クライング・イン・ザ・チャペル」。エルヴィスのゴスペルというとファンの人なら知っている人も多いと思うがゴスペルだけを集めたアルバムも何枚か出しているのでそこから紹介したい曲もたくさんある。しかしGospel in Rockではチャートインした曲を紹介するのを原則にしているのでこの曲を取り上げた。

CDでは30曲のNo.1ヒットとなっているが「クライング・イン・ザ・チャペル」がチャート・インした時は最高3位のようだ。大ヒット曲には違いはない。私はこのCDを聞くよりも前にゴスペルだけのベストCDを持っているのでそれで「クライング・イン・ザ・チャペル」を聞いてはいたが、このCDで聞きなおして素晴らしさを再確認した。ジャズ喫茶で歌われるラブ・バラードのような雰囲気を持っているので詩を気にしなければチークダンスを踊るための曲にも思われそうだ。耳をすまして静かに聞きたい曲だ。エルビスの魅力はロック、バラード、ゴスペル、ムードミュージック、クラシック、カントリーと何を歌っても完全に自分の曲にしてしまう凄さだが、特にこのようなバラードはある意味シナトラやペリー・コモさえも負けそうである。「あなたは私が教会で涙をながしているのを見ましたね」という歌いだしから始まって、「平安を得られる場所は教会以外にはない」と訴え、最後は悩みを持つ人に教会にきて祈ることをすすめる。教会へ人を誘うときの模範のような歌であるが、詩にうそはない。
ゴスペルシンガーとしてのエルヴィスの真髄が極まった一曲だ。

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