レット・イット・ビー “Let It Be” The Beatles

Gospel in Rock

Let It Be

いまさら、この曲の説明はいらないだろう。ちなみにシングル「レット・イット・ビー」は、アルバムに収められた「レット・イット・ビー」より前にレコーディングされたジョージ・マーティンプロデュースによるものである。興味のある方はフィルスペクターのアルバムバージョンとジョージ・マーティンプロデュースのシングルバージョンを聞き比べるてみると面白いと思う。シングルバージョンは今ではシングル発売されたものだけを集めた「パスト・マスターズVol2」等で聞ける。中間部のジョージのギターソロが荒々しいのがアルバムバージョンである。
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さて、本題である。「レット・イット・ビー」にはこれまでGospel in Rockで紹介してきた曲のように直接歌詞に神もイエスも出てこない。しいていえばMother Maryであるが、これはポールが14歳の時になくなったメアリー・マッカートニーのことだとされている。しかし、難民救済コンサート、2001年の同時テロの追悼コンサートなどで必ず歌われているところからきっと平和へのメッセージの意味も込められているのだろう。ゆえにMother Maryも聖母マリアとのダブルミーニングと感じても間違いではないと思う。主題のLet it beの意味は現在販売されている公式CDでは「なすがままに」と訳されている。この本質的な意味は、ベトナム戦争後のヒッピームーブメントを考えたり、古い話で恐縮だが日本のGSスパイダーズのメンバーであった「かまやつひろし」の「どうにかなるさ」等をイメージすると、まさに「何をしたって無駄さ、好きなことをやって、後は野となれ山となれ」という投げやりな曲に思ってしまうだろう。しかし、ポールの真意はそうではないはずだ。おそらく、「人として努力をして報われないこともあるが最善をつくした後は神にまかせなさい、人事をつくして天命を待て」というメッセージだ。そうでなければ追悼コンサートでは歌われない。歌詞について各自で感じ取って頂きたい。一つ一つのパラグラフが希望に満ちた内容になっているのが分かる。

メロディーについてちょっと触れる。この曲の魅力の一つとしてイントロが挙げられるが、発売当時ピアノの練習曲と揶揄された。良く聞くとコードは単調であるが、左手のベース進行は左利きのポール流の味付けがされており意外に単純ではない。ピアノの初心者でもそれなりに弾くことはできると思うが完全にコピーして弾こうとするとかなり難しい。そんなイントロでスタートしてからの曲の盛り上げ方は単純なコード進行であるにもかかわらず誰にもまねのできないポールのセンスのよさが最高に発揮されている。中間部のジョージのギターソロも短めだがメロディーに完全にマッチしていて誰がこのソロを弾いても、このギターフレーズを逸脱したフレーズにはならない。後半からこれ以外には考えられないような重厚なサウンドが完全に融合してエンディングを迎える。何百回聞いたか分からないが本当に素晴らしい曲だ。これからもずっと歌い継がれていくだろう。

おまけ。
ロックのスタンダード中のスタンダード「レット・イット・ビー」は70年3月21日にビルボード第6位でスタートした。しかし、サイモンとガー・ファンクルの「明日に架ける橋」に押されて4月11日まで1位になれなかった。その後2週連続して1位になった。前日にビートルズは解散を発表したので期せずしてこの曲がビートルズの最後のメッセージともなった。

最近のレット・イット・ビーに関する話題

★悲しい出来事。来日したポール・マッカートニーの国立競技場、武道館などの全公演がポールの体調不良により中止になってしまったこと。幸いにも現在快方に向かっているとのことであるがレット・イット・ビーを生で聴きたかった人も多かったはず。1日も早く回復して再来日をして欲しい。
★空前の大ヒットを今も継続中のディズニー映画「アナと雪の女王」。主題歌の「レット・イット・ゴー~ありのままで~」。原題は「Let It Go」なのだが、日本語詩は「ありのままで」となっている。これは本来「気にしない、忘れなさい」などと訳されるべきで逆に「ありのままで」を英語にするとLet It Beになる。なので違和感はあるが曲がヒットしたことによりLet It Beが思い出されるきっかけになってくれるのを期待している。英語で歌うときは「レリゴー」となるらしいが、これは理にかなっている。実は私がLet It Beを小学生のときに聞いていたときはしばらく「エルピー」と思っていた。(2014年5月26日追記)


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