男たちの旅路 第1部

Movies & TV

NHKアーカイブスでの視聴レビュー。

第一話 非常階段

山田太一の脚本なのであまり外れはないが、このシリーズは特に秀逸。最初の放映が、1976年2月28日。もう40年近く経つのに忘れられないドラマだ。再放送を何本か録画して持っているが、第1部は持っていないので、みることにした。ご覧になっていない人の為にNHKアーカイブでの紹介をそのまま引用してみる。ちなみに4部まで製作された。

”内容/鶴田浩二扮する元特攻隊員のガードマンと彼を取り巻く人々が遭遇する事件を通じて、高齢者問題、体のハンディを持つ人々とのふれあい、世代の断絶、仕事の責任、本当の勇気とは等々現在でも普遍的な問題であるテーマに正面から取り組んだ骨太のシリーズ。”

これを読むと硬い社会派ドラマのようだが、決してそんなことはない。娯楽作品でもないが、笑えるシーンも多い。笑わせて、泣かせて、感動させる。非常にメリハリの利いたものになっている。無駄なシーンがほとんどないので、途中で早送りをしようとするが、2分程度スキップしてみても話が分からなくなり結局は元に戻って観ることに。それだけドラマに隙がないし、セリフの1つ1つに意味がある。第1回のあらすじも引用してしまおう。

”警備会社に勤務する吉岡は、特攻隊の生き残りで筋金入りのガードマン。現代の若者のことをどうしても好きになれない典型的な戦中派だ。そんな彼のもとに、二人の若者が新米ガードマンとして配属されてきた。三人は自殺の名所として有名なビルの警備を受け持つことになる。わかりあえないながらも仕事をこなしていた三人であったが、ついにある夜、若い女性が自殺を図ってビルに侵入してしまう・・・。
生命を簡単に考えるような若者に対し、吉岡は戦時中から今にかけての思いを語るのだった。”

主役は吉岡指令補こと鶴田浩二。鶴田浩二は時代劇のイメージか、♪何から何まで真っ暗闇と~と左手?を耳にあてて歌う歌手と思っていたので、現代劇に出演するのは、異色だったと思う。当時観た時には自分の父親よりも年だったので、ファンということもなく、何故観始めたかは、忘れてしまったが、鶴田浩二よりもおそらく、水谷豊を観たかったのだろう。その水谷豊(杉本陽平)と、元代議士の森田健作(柴田竜夫)が二人の新米ガードマン。この3人と、後から登場する自殺志願の若い女性、桃井かおり(島津悦子)の4人が軸になり物語が展開する。

観て思ったことは、まず、「今だったらこういう設定はないな」ということだ。特攻隊出身者どころか戦争体験者とも仕事をすることはないだろうし、万が一あってもこんなに過去に拘って、本心を出す人はもはやいないだろう。30年前がこの設定ができるギリギリの年だったかもしれない。

次に思ったことは、まだ「大人」がいた時代だったということである。特攻隊上がりの吉岡は別格としてもその他の登場人物でも大人と若者の明確な線引きがあった。現在では会社という組織であっても、大人と若者の区別は殆どない。勿論、職制上の上下関係はあっても、年功序列は過去のものになっており、年功序列の会社でもその差は昔とは違う。

こんなことを考えながら視聴したが、やはりラストは泣いている顔を観られないように苦労した。普通の生活で吉岡の言葉だけを聴いたら、全く意に介さないかも知れないが、ドラマの中では非常に重みがある。ネタバレさせるが、最後に悦子の自殺を必至に留めることが出来た時、吉岡は回りの静止を振り切って悦子を殴りつけてしまう。今だったら、くびになってしまう行為だが、そんなことを考えさせずに単純に感動してしまった。繰り返すが、30年前のドラマで何度かは観たものなのにこれだけ感動させる。続けて第2話を観たが、これはまた別記事にする。

その他に、気がついた点は、画面がリマスターされているのか非常に綺麗。逆に出演者の若さが際立って違和感があるぐらいだ。つい、今年撮ったものかと思えるほど。しかし、各シーンは屋外ロケも多いせいもるのだが、明らかに今とは違いがある。例えば、吉岡のアパートがあるのは都電荒川線の巣鴨新田。その街並みが古い瓦屋根の一軒家ばかり。そして、吉岡の住まいは風呂無し、トイレ無しの6畳一間。ガードマンはドラマ中でも他の職種に比べて給料がいいということになっていたし、ましてや管理職。そんな人があんなアパートに住んでいても誰も不思議に思わない。今だったら、独身貴族で高級マンションだろう。もっと細かいところで、思い出したのは、買い物した時に店が出す袋が、紙袋。スーパーでもそうだ。それから車。サイズにもあまり差はないし、角型の白のセダンが殆ど。画面は新しくともこういうところでは古さを感じる。

さらに、番外。オープニングで、主題歌が流れるが、これも当時のNHKのドラマとしては異例の、元ゴールデンカップスのミッキー吉野を起用している。演奏はこの1部では、ミッキー吉野グループというクレジットになっているが、2部以降は演奏はゴダイゴとなっている。おそらくミッキー吉野グループもゴダイゴも同一だと思うが、76年当時は、まだ結成以前か、名前の知名度がなかったのでミッキー吉野グループとしたのであろう。 それから、懐かしい人ではこの回では数分しか登場しなかったが、理想の夫婦、中村雅俊夫人の五十嵐淳子が柴田たちの先輩ガードマンとして出演していた。ほかに「渡鬼の」前田吟、「ザ・ガードマン」の中条静夫も出演。


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“男たちの旅路 第1部” への2件のフィードバック

  1. Kuwahara Kouichirou より:

    2014年1月5日にBSプレミアムで放送しました。

  2. Webmaster より:

    コメントありがとうございます。私も昨日放送があることを知り、間に合いました。NHKオンデマンドでいつでもみれるのですが、やはり見てしまいます。2月まで続くようなので永久保存版で録画します(^・^)できれば4部までやって欲しいのですが恐らく事件続きの俳優Sの出演があるので難しいと思います。

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