ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス? “Do They Know It’s Christmas?” Band Aid

Band Aid Gospel in Rock

この記事も10年前のをほぼそのまま引用。

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クリスマスと聞くと、多くの日本人はクリスマスセール、クリスマスケーキ、クリスマスプレゼント、クリスマスコンサート・・・を思い浮かべるが、クリスマス(クライスト ミサ:キリストの祭り)がイエスの降誕(誕生)を祝う日であることはおろかキリスト教の行事だと理解している人は少ない。そこでこのGospel in Rockのクリスマス特集ではクリスマスの本来の意味についても考えていきたい。ご紹介する曲はGospel in Rockであるので従来通りヒットしたロック、ポップスのクリスマスソングをご紹介する。教会で伝統的に歌われる賛美歌、クリスマスキャロルについては数多くのサイトがあるのでメインで取り上げることはしない予定である。

ところで、クリスマスはいつからクリスマスシーズンなのだろうか。まださすがに商店街、デパートなどでもクリスマスの飾りつけは見かけないが、教会でのクリスマスの最初の行事は待降節(アドベント)である。教会の一年間は正月から始まるのではなくこの待降節から始まるのである。アドベントとは「到来」という意味でキリストの初臨と再臨の両方に使われる。この世に救い主たるイエス・キリストを待ち望む時である。アドベントは降誕日(クリスマス)の直前の主日(日曜日)から3週間前の主日から始まる。今年の待降節は12月1日である。その日から4本あるアドベントクランツが一本ずつ灯され、4本全てが灯されると待ちに待ったクリスマスとなる。

さて、クリスマスソング特集の最初の曲は1984年のクリスマスに発表され、85年に13位を記録したBand Aid の「Do They Know It’s Christmas?」。Band Aid は怪我をした時にお世話になるテープのことではない。アイルランド出身のロックグループでカリフォルニアの女子高内で起きた死者11人を出した乱射事件をきっかけにして作た「哀愁のマンデイ(I don’t like mondays )」のヒットで知られるブームタウンラッツのヴォーカリス、ボブ・ゲルドフの呼びかけでエチオピア飢饉救済のチャリティーレコードを製作する為に集められたスーパーバンドである。

このプロジェクトに参加したアーティストは、ポール・ヤング、ボーイ・ジョージ(カルチャー・クラブ)、ジョージ・マイケル(ワム)、スティング、ボーノ(U2)、フィル・コリンズ、デュラン・デュラン・・・のイギリスのトップスター達だ。この成功の後、USAフォーアフリカを始め、アーティスト達によるチャリティーレコードが数多く作られるようになった。

Band Aid は結果的に500万ドルの義援金を集めることに成功したばかりでなく、エチオピアの独裁政権に対して静観していた西側諸国を積極的に救済する方向に転換させるきっかけとなった。それにより、被害者は100万人でストップした。100万人という数字自体も信じがたい数字であるが、歴史的にみれば100万人以上の死者がでた飢饉はこれだけではないのだ。ボブ・ゲルドフは活動が認められノーベル平和賞の候補にもなった。エチオピアの当時の独裁政権を強めることになってしまったという側面もあると非難されたこともあるようだが、トップアーティストが一同に損得抜きで集まり世界を動かした功績は大きい。

歌詞と私訳を最後にご紹介しよう。

It’s Christmastime; there’s no need to be afraid
At Christmastime, we let in light and we banish shade
And in our world of plenty we can spread a smile of joy
Throw your arms around the world at Christmastime
But say a prayer to pray for the other ones
At Christmastime

It’s hard, but when you’re having fun
There’s a world outside your window
And it’s a world of dread and fear
Where the only water flowing is the bitter sting of tears

And the Christmas bells that ring there
Are the clanging chimes of doom
Well tonight thank God it’s them instead of you
And there won’t be snow in Africa this Christmastime

The greatest gift they’ll get this year is life
Oh, where nothing ever grows, no rain or rivers flow
Do they know it’s Christmastime at all?

Here’s to you, raise a glass for everyone
Here’s to them, underneath that burning sun
Do they know it’s Christmastime at all?

Feed the world
Feed the world

Feed the world
Let them know it’s Christmastime again
Feed the world
Let them know it’s Christmastime again

クリスマスだ。恐れることは何もない。
光を受け入れ闇を消し去るのだ。
満ち足りた世界に喜びの笑顔を届けるのだ。
さあ、クリスマスの時、世界に手を差し伸べよう。
隣人の為に祈ろう。クリスマスなのだから。

幸せな人には難しいかもしれない。
でも、窓の外にも世界があるんだ。
不安と恐れがあり、流れている水は身をきるような涙の水だけの世界。

そこで鳴るクリスマスのベルは世の終わりを告げる。
今夜は神に感謝しよう。自分がそこにいないことを。アフリカでは今度のクリスマスにも雪は降らない。
今年彼らが受け取る最高の贈り物は命。
ああ、何も育たない、雨も降らない。
こんな地で彼らはクリスマスの時だという事を知っているのだろうか。

さあ、みんなの為に乾杯しよう。
太陽の下にいる彼らの為にも乾杯
彼らはクリスマスの時を知っているのだろうか。

食糧を世界に。
食糧を世界に届けよう。

食糧を世界に。
彼らにクリスマスを知らせよう。
食糧を世界に。
またクリスマスが来る事を知らせよう。

【2002年11月2日 記】

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【2004年11月17日 追記】

スーダンのダルフール紛争での難民救済のために今年「バンドエイド」は再結成され、14日にレコーディングが終了した。

以下BARKSの記事から引用。

曲は、ポール・マッカートニーのベースでスタート。その後、クリス・マーティンのヴォーカルがオープニングを飾る。

シングル『Do They Know It’s Christmas?』のメイン・ヴォーカルは以下の通り。

It’s Chrismastime~we banish shade(クリス・マーティン)
And in our world~the world at Christmas(ダイド)
But say a prayer~you’re having fun(ロビー・ウィリアムス)
There’s a world~dread and fear(シュガーベイブス)
Where the only water flowing(フラン・ヒーリィ)
Is the bitter sting of tears(ヒーリィ&シュガーベイブス)
And the Christmas~chimes of doom(ヒーリィ&ジャスティン・ホーキンス)
Well tonight thank God it’s them instead of you(ボノ)
And there won’t~this year is life(ウィル・ヤング&ジャメリア)
Where nothing~nor rivers flow(ミズ・ダイナマイト&べヴァリー・ナイト)
Do they know it’s Christmas at all?(ジョス・ストーン他)
Here’s to you(トム・チャップリン:キーン)
Raise a glass for everyone(ジャスティン・ホーキンス)
Spare a thought~you survive(ディジー・ラスカル)
Here’s to them(バステッド)
Underneath that burning sun(ジャスティン・ホーキンス)
You ain’t gotta~to the helpless(ディジー・ラスカル)
Do they know it’s Christmastime at all?(ジョス・ストーン&ジャスティン・ホーキンス)
Feed the world(トム・チャップリン)
Feed the world(チャップリン&クリス・マーティン)
Feed the world(チャップリン&マーティン&シュガーベイブス)
Feed the world(全員)

以上はメイン・ヴォーカルの一覧で、コーラスにはスタジオに姿を見せたアーティスト全員が参加している。

—-引用ここまで

これをみると多くのアーティストが歌いたがっていた

♪Well tonight thank God it’s them instead of you~

は、やはりオリジナルと同じくU2のボノが歌ったようだ。

なお、これに伴いオリジナルの「バンド・エイド」のドキュメンタリーDVDも12/22に発売される予定。

【2014年12月3日 追記】

またまた大集合した「バンド・エイド」今回はエボラ出血熱救済のためでバンド・エイド30のシングル曲が5分間で100万ポンド(約1億8000万円)もの寄付を集めたそうだ。ワン・ダイレクション、コールドプレイのクリス・マーティン、U2のボノらが参加したCDは12/8に発売です。

【2016年12月26日 追記】
2016年12月25日 ジョージ・マイケルが53歳で亡くなりました。

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