最初に問題から。下記の邦題は何でしょう?
1.You Light Up My Life
2.Don’t Stand So Close To Me
3.We’re All Alone
4.She Works Hard For The Money
5.The One That You Love
6.Just The Way You Are
7.Bridge Over Troubled Water
正解はまず「名訳」とよんでもいい6,7から。6はご存知ビリー・ジョエルの「素顔のままで」、7はサイモン&ガーファンクルの最大のヒット曲「明日に架ける橋」。どちらも単に原題をカタカナで置き換えた場合、日本でのヒットはどうだったであろう。両曲も文句のつけようの無い名曲であるが、特に7を「ブリッジ・オーヴァー・トラブルド・ウオーター」などとしたら、英語圏ではともかく日本でのヒットは限定的だったかもしれない。残りの正解を1から順に並べると、「恋するデビー(デビー・ブーン)」「高校教師(ポリス)」「みんな一人ぼっち(リタ・クーリッジ)」「情熱物語(ドナ・サマー)」「シーサイド・ラブ(エア・サプライ)」どれも全く原題と関係ないし歌詞との関連性もない。1の「恋するデビー」は77年に全米で10週連続という特大ヒットなのだが日本では中ヒットにとどまった。タイトルがもう少し練られていれば日本でのヒットももう少しアップしたような気がする。
さて、前振りが長くなってしまったが、この「サインはピース」も今となっては駄作のタイトルである。しかし、先に問題としてあげた曲とは異なり当時の世相にはピッタリはまって、むしろはまりすぎの感があった。今でも時々ピースマークのバッジを見かけるがそのピースである。原題はPut your hand in the hand。この曲は次のリフがくりかえされる。
Put your hand in the hand of the Man
Who stilled the water
Put your hand in the hand of the Man
Who calmed the sea
Take a look at yourself
And you can look at others differently
By puttin’n your hand in the hand of the Man
From the Galilee
前半でも充分に手をつなぐ人はイエスだと分かるが最後のFrom the Galileeで決定的になる。全体を通して聞くと聖書、賛美歌に相応しい正統派のgospelになっていることがわかる。「サインはピース」は割と固いgospelの詩でありながらヒットしたのは、グループのヴォーカルのジャニス・モーガンのさわやかさとフォークのようであり、ソウルのような軽快な曲の魅力であろう。アメリカでは71年に発表され最高2位のミリオンセラーとなった。カヴァーしたアーティストも多く、エルヴィス・プレスリー、アン・マレー、エンゲルト・フンパーディンクなどが取り上げている。
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