NHKアーカイブスでの視聴レビュー。
このドラマの再放送を強く望んでいたのだが、NHKに録画したものがなく、幻の映像となっていた。長らく二度と観ることはできないと思っていたが、何かのきっかけでDVDが発売されていることを知り、狂喜乱舞した。しかし、50話の回だけしか発売されていないし、映像もどんなものか分からないので、DVD購入は二の足を踏んでいたが、NHKアーカイブのライブラリーにあったので、すかさず観ることにした。そうしたら、なんと不完全ながら、総集編の前編もあった。前編を観てから50話を観た。
総集編は、カラーで放映されたはずだが、録画したデッキが元々モノクロだったのか、古くてカラーがあせてしまったのかどうかわからないが、モノクロだった。しかし、一生観ることはできないものだと思っていたので、画面の良し悪しはあまり気にならず、とにかく懐かしさで一気に観てしまった。
ちなみに私の家では、東京オリンピックもカラーで観たし、勿論この「天と地と」の放映時(1969年)もカラーで観たはずだ。
「天と地と」は、何年か前に映画にもなったが、映画は最低の出来。全く面白くなかった。当時観てしまってますます昔みた「天と地と」を観たくなったが、そのときにはまさか録画テープが残っていないとは思ってもみなかった。
とにかく、恋焦がれて再会することができたことは夢のようだ。ドラマは格調があり、特殊撮影なんか殆どなかったと思うが、戦闘シーンも迫力満点。当然出てくる人、出てくる人が懐かしい人ばかり。幼少の謙信は、中村光輝。顔も名前も忘れていたが、子供にしては低く重々しい声だったことははっきり覚えていた。謙信の母は、細腕繁盛記の新珠三千代。この人も観てはっとした。全く忘れていた。女の守り役の松江は、野川由美子だとばかりずっと思っていたが、有馬稲子だった。男勝りの役だったが、当時は憧れのお姉さんだった。山口崇も好きな役者だった。謙信の恋人役に、おはなはんの樫山文枝。可愛いというより綺麗だと思っていた。総集編がカラーでないのが、残念だった。信玄の側室?諏訪御寮人は今では全く想像できない(失礼!)中村玉緒。宇野重吉も好きだったなあ。とにかくみんながみんな懐かしい人ばかり。総集編で殆ど記憶が甦ってきた。
さて、総集編後半が観られないのは残念だったが、50話は全編を通じてのハイライト、川中島の4回目の戦いだったので、非常に満足だった。これは総集編とは違い画質は悪いが一応カラー。全編が観れないのは重ね重ね残念だがこの50話だけでも残っていたのは本当に貴重。国宝級の価値がある。石坂謙信は、若いのに威厳があるし、信玄の高橋幸治は、当時はあまり上手い役者じゃないと子供ながら思っていたが、今観ると本当にうまい。ラスト近くの謙信が引きあげるときに「勝った」というナレーションがあるのだが、この言葉を覚えていた。この回で、謙信の恋人乃美 が死んだことを宇佐美定行(宇野重吉)から謙信に告げられる。当時も泣いたと思うが、今回も泣いてしまった。
原作も新潮文庫で何回も読んで、原作の面白さも知っている。この大河ドラマの「天と地と」はほんの一部を観ただけだが、それでも今観ても懐かしさだけでなく最近の大河より数倍も面白かった。
ぜひ、昔のこのドラマのイメージを損なわないようにリメークして欲しい。
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