レイダース/失われたアーク <<聖櫃>>

Gospel in Movies

レイダース/失われたアーク <<聖櫃>>

ジョージ・ルーカス、とスティーヴン・スピルバーグの巨頭が手を組んで作った大冒険アクションシリーズの第1作。原題は“Raiders of the Lost Ark”この作品も別記事の「ショーシャンクの空に」と同様、公開当時ヒットはしたものの大ヒットにはならず、その後のビデオ、LD、テレビ放映、テレビシリーズでブームになり2作めで大ヒット、3作めではさらにヒットしています。 2作めからはインディー・ジョーンズの名前が主タイトルになっていますがこの 1作めを作ったときはシリーズ化は考えられていなかったようです。個人的には 1作めの「ジェットコースター」部分を数倍多くした2作めの「魔球の伝説」が1番楽しめますが、「レイダース」はアクションだけでなく聖書やヒットラーといった謎をからめた深みがあり、別の意味で奥が深いものになっています。

さて、本題ですが今回は“アーク(Ark)”を取り上げます。「アーク」と聞くと語感だけではアーク放電とかアーク溶接のアークが思い浮かびますがこの場合の「アーク」は“Arc”で字が違います。“Ark”は実は聖書の中にでてくる言葉なのです。そこで “Ark”を説明しようと思いますが、その前に予備知識として「聖書」をごくごく簡単に説明しましょう。

「聖書」は「バイブル」と呼ばれることも多いのですが、構成は大きく「旧約聖書」と「新約聖書」2つの文書群に分かれます。約は翻訳の「訳」ではなく契約の「約」です。
「旧約」は39の文書からなり「新約」は27の文書から成り立っています。文書は神話的な「創世記」、大冒険スペクタクルの「出エジプト記」から、六法全書、詩集、伝記、預言書、歴史書などなど様々です。書かれた時代はばらばらですし、もちろん作者も1人ではありません。しかし、聖書が独特なのはこれら多種多様な文書がすべて1つの精神、霊感によって書かれ一貫性があるということです。

というところで、“Ark”に戻りますが、“Ark” は聖書の中で2つの意味で使われています。1つは旧約聖書の最初の文書で神による天地創造、最初の人類であるアダムとエバ(イブ)が登場する「創世記」の中の物語の1つで有名な「ノアの箱舟」に出てくる「箱舟」として“Ark”が使われています。もう1つは同じく旧約の「十戒」として映画にもなった「出エジプト記」に出てくる神によって「十戒」が刻まれた石版を収める「契約の箱」としてです。「レイダース」の“Ark” はもちろん後者の「契約の箱」の意味ですが、公開当時は「失われた箱舟の襲撃者たち」などと間違ったタイトルで呼ばれてしまったようです。

「契約の箱」が最初に登場するのは次の箇所です。

出エジプト記25章10~16節:
アカシヤ材で箱を作りなさい。寸法は縦二・五アンマ、横一・五アンマ、高さ一・五アンマ。
純金で内側も外側も覆い、周囲に金の飾り縁を作る。
四つの金環を鋳造し、それを箱の四隅の脚に、すなわち箱の両側に二つずつ付ける。
箱を担ぐために、アカシヤ材で棒を作り、それを金で覆い、箱の両側に付けた環に通す。
棒はその環に通したまま抜かずに置く。
この箱に、わたしが与える掟の板を納めなさい。

これは神がモーセに幕屋(聖所、祭壇)をつくる時に命じたものですが最後に書いてある「掟の板」に十戒が書かれていたとされています。「アンマ」は長さの単位で1アンマは、約45cmです。

十戒についても引用しておきましょう。

出エジプト記20章1~17節:
神はこれらすべての言葉を告げられた。
「わたしは主、あなたの神、あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出した神である。
・あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。
・あなたはいかなる像も造ってはならない。上は天にあり、下は地にあり、また地の下の水の中にある、いかなるものの形も造ってはならない。あなたはそれらに向かってひれ伏したり、それらに仕えたりしてはならない。わたしは主、あなたの神。わたしは熱情の神である。わたしを否む者には、父祖の罪を子孫に三代、四代までも問うが、わたしを愛し、わたしの戒めを守る者には、幾千代にも及ぶ慈しみを与える。
・あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。みだりにその名を唱える者を主は罰せずにはおかれない。
・安息日を心に留め、これを聖別せよ。
六日の間働いて、何であれあなたの仕事をし、七日目は、あなたの神、主の安息日であるから、いかなる仕事もしてはならない。あなた、息子も、娘も、男女の奴隷も、家畜も、あなたの町の門の中に寄留する人々も同様である。
六日の間に主は天と地と海とそこにあるすべてのものを造り、七日目に休まれたから、主は安息日を祝福して聖別されたのである。
・あなたの父母を敬え。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生きることができる。
・殺してはならない。
・姦淫してはならない。
・盗んではならない。
・隣人に関して偽証してはならない。
・隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣人のものを一切欲してはならない。」
「・」は分かりやすいようにつけたもので聖書にはありません。

「契約の箱」はこの後聖書にたびたび登場(旧、新約両方で50箇所)します。しかし、ソロモン王が神殿を建てたとき、この箱を至聖所に運び入れた(下記参照)

列王記上8章1節:
ソロモンは、そこでイスラエルの長老、すべての部族長、イスラエル人諸家系の首長をエルサレムの自分のもとに召集した。「ダビデの町」シオンから主の契約の箱を担ぎ上るためであった。

のですが、ネブカドネツァル王が神殿を取り壊した後所在が不明になっています。聖書で最後に登場するのは新約聖書の最後の書

ヨハネの黙示録11章19節:
そして、天にある神の神殿が開かれて、その神殿の中にある契約の箱が見え、稲妻、さまざまな音、雷、地震が起こり、大粒の雹が降った。

です。

神自ら書かれた十戒が納められ、幕屋(聖所)になくてはならない重要なものであった「契約の箱」は忽然と姿を消したため謎めいたものとなっています。今でも「ノアの箱舟」などと同様、発見が期待されるものであります。

尚、「聖櫃」という言い方はプロテスタントの教会ではあまり聞きません。カトリック教会に置かれているものなのですが、「聖体(イエスの体)」が納められている「箱」のことで「契約の箱」とは違うものだと思います。( カトリック教徒ではないので自信がありません。どなたかご存知の方がいらっしゃったらご教示ください^/^)


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