最初にちょっとクイズを出します。少し考えてみてください。
●タイタニック (Titanic)が沈没したときに、1500人の方が海に放り出されたそうですが、その中で生き残った人は何人でしょう。
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正解は、0人です。沈没してから100年近く経っていますので全員亡くなられているでしょう。(100歳を超えて生きていらっしゃる方がいれば別ですが、そこは突っ込まないで下さい。)冷ややかにいえば人間誰でも生まれたときから死に向かって歩んでいるのです。
キリスト教とユダヤ教、イスラム教との関係について簡単に「ハムナプトラ」のところで書きましたが、「死生観」についてはこれら3つの宗教は救われる方法が、イエスなのかエホバなのかアラーなのかという違いはありますが人生は一度、導かれる先は天国だということは共通しています。1回キリの人生だからこそ逆に意義が強調されるのです。
この「人生は一度きりという死生観」が日本人が一般的に思っている仏教の死生観と違うところにキリスト教のとっつきにくさがあるのかもしれません。仏教では「あなたの、前世は犬でした」とか言われるように、輪廻転生が基本です。それにキリスト教の目的地が天国であるのに対して、仏教は四苦八苦から逃れて、自分が「無」の境地に至るのが目的なのでだいぶ違います。(どちらも死ぬことが目的ではないので誤解のないように)
さて、タイタニックをみて学ぶべきポイントは、どんなに金持ちであっても死からは逃れられないし、豪華な持ち物、名声は沈み行く船の前には何の役にも立たないということを教えてくれます。聖書では、例えば
テモテへの手紙一:6章6~7節
もっとも、信心は、満ち足りることを知る者には、大きな利得の道です。
なぜならば、わたしたちは、何も持たずに世に生まれ、世を去るときは何も持って行くことができないからです。
と書かれています。このまま、タイタニックを聖書的見地から論じていくことも可能かと思いますが、お話ししたいのは「賛美歌」です。
タイタニックで思いつく曲といえば、もちろん、セリーヌ・ディオンが歌ったテーマ曲「マイ・ハート・ウイル・ゴー・オン」ですが、もう一曲忘れられない曲があります。讃美歌320番 「主よ、みもとに(Nearer, My God, to Thee)」です。なお、聖歌では260番「主よ いよいよ」となっていますが同じ曲です。
賛美歌と聖歌の違いは、簡単にいえばプロテスタントでよく使われるのが賛美歌。カトリック、東方正教会で主に使われるのが聖歌。共に神を心からほめ歌うものです。
タイタニックの映画では、船が沈む間際に誰も聞いていないから最後にしようと演奏を一旦やめた弦楽四重奏者の演奏者たちが、本当の最後の演奏に選んだのがこの曲です。
一節だけ、英語と日本語を引用しましょう。
Nearer, my God, to Thee, Nearer to Thee!
E’en though it be a cross That raieth me;
Still all my song shall be, Nearer,my God, to Thee,
Nearer, my God, to Thee, Nearer to Thee
主よ みもとに 近づかん
のぼるみちは 十字架に
ありともなど 悲しむべき
主よ みもとに 近づかん
この曲が最初に世にでたのは、1936 年のクラークゲーブル主演の「桑港(サンフランシスコ) 」の最後に演奏されました。ちなみに「桑港(サンフランシスコ) 」はサンフランシスコの大地震をテーマにした超大作パニック映画です。
また、第25代のアメリカ大統領ウイリアム・マッキンリーが暗殺されたときに最後に口にした言葉が”Nearer, my God, to Thee, e’en though it be a cross, has been my constant prayer.”だそうです。
聖書での該当箇所はいくつかあるようですが
ルカによる福音書:9章23節
それから、イエスは皆に言われた。「わたしについて来たい者は、自分を捨て、日々、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい。
をあげておきましょう。
「主よ、みもとに(Nearer, My God, to Thee) 」は、賛美歌の分類では「向上」ですので葬式のときだけに歌われるわけではないのですが、多くの葬儀ではやはりこの曲が賛美されることが多いと思います。
最後の最後に「主よ みもとに 近づかん」といえるのは素晴らしい信仰ですね。
なお、タイタニックの当時の生存者の話ではこの曲ではなく違う曲が演奏されていたようです。(蛇足でした(゚-゚))
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